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続・ジュークって一体何なのさ!?内に秘めたるポリリズム

コラム 制作

以前こちらの記事で、ジュークにはBPM160とBPM80が共存し構造的にドラムンベースダブステップに通じるものがある、と書きましたが、寄せられたご意見、ご感想の中に『160と120を共存させるアフロポリリズムの導入がジュークの技術的要素。』というものがありました。これはつまり、構造的に4:3のポリリズムが内在しているという事のようです。今回はそのジュークに内在するポリリズムについて、筆者なりに見聞き調べた事をまとめてみます。

こちらのまとめにも『160-80-120(三連符)という、3つのBPMを自由に行き交う緩急自在のリズム感!』とある通り、筆者も展開として、一曲の中で三連の符割が主体になる部分がある事は認識していたのですが、ポリリズムとなると少し話は変わってきます。基本的にポリリズムというのは、その名称(「ポリ(poly)=複数の」リズム)からもわかるとおり、同時に2つ以上のリズムが存在する状態の事を言います。(BPM160とBPM80の場合は、リズムを細分化しただけとも言えるので、厳密にはポリリズムとは言いません。)文章だとちょっと分かりにくいので音源で聴いてみて下さい。

音源では右がBPM160、左がBPM120のそれぞれ4拍子のクリックが鳴っています。(分かりにくい場合は、ヘッドホンで片耳ずつ聴いてみるとイイカモ!)この状態が4:3のポリリズムです。それでは、ジュークのどこにこのポリリズムがあるのでしょうか?答えを先に言ってしまうと、特にキックとベースに顕著に表れる『♪.+♪.+♪』というリズム。これが二拍三連の訛ったものだと考える事ができ、4:3のポリリズムにおける"3"の要素になります。今度は右をBPM160の四分音符、左をBPM120の八分音符(BPM160における二拍三連)で、クリックを鳴らしてみます。左側のリズムがジュークにおけるキックとベースのリズムによく似ているでしょう?

♪.+♪.+♪≒三連符のモジュレーション(揺らぎ、訛り)はアフリカや南米の音楽ではしばしば聴く事が出来、ブラックミュージックの一つであるジュークが、このアフロポリリズムのDNAを持っている事は不思議ではありません。楽譜至上主義なクラシックからしてみると信じられないような事ですが、ある意味ではこの「揺らぎ」こそが黒人音楽の真髄であると筆者は考えています。*1少し話がそれましたが、ジュークにおいてはこの♪.+♪.+♪≒三連符が、現時点での技術的要素と言えそうです。*2最後に、前回聴いていただいたHerbie Hancock - Chameleonをネタにしたジュークで、今回のおさらいをしておきましょう。前半8小節はキック&ベースが♪.+♪.+♪のリズムを採り、つづく8小節では二拍三連に変化します。むりやり三連符にしているので、ちょっと苦しいですが。*3

以下、参考にさせて頂いた記事や音源です。

【RGW】ポリリズムの初歩

My First Impression of Juke/Footwork - Jablogy

これなんか三連符をフレキシブルに使っていて面白いですね。定型的な♪.+♪.+♪を足まわりに使わないジュークの発展型といえると思います。

*1:黒人音楽の代表的なジャンルであるブルースにおいてはリズムだけに留まらず、メジャースケールとマイナースケールの混在(これをブルーノートスケールと言います。)が見られ、これは音程のモジュレーションから発生したものだという説もあります。

*2:発祥地であるシカゴを離れ、様々なジャンルに浸透し始めた現在ではどんな発展形が出てくるか、はたまた突然変異が起こるかまったく予想がつきません。これは今後のお楽しみですね!

*3:今回は符割の関係でBPM160を軸に説明ています。