『音圧アップのためのDTMミキシング入門講座!』を読みました。
音圧アップのためのDTMミキシング入門講座! (DVD-ROM付)
- 作者: 石田ごうき
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2014/08/22
- メディア: 単行本
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ぱっと見のカジュアルな体裁と「音圧アップのための」という枕から受けるお手軽感とは裏腹に、その実、非常に堅実で実践的な内容でちょっと驚きました。ミキシングの本というと、エフェクターを一通り説明したうえで、各エフェクトをどんな場面でどんな風に使うか、という点に終始しがちですが、本書で扱うプラグインは基本的にEQとコンプのみ!空間系エフェクトはあくまで補助的なものであり、フェーダーとイコライジング、ダイナミクスコントロールこそがミックスの基本と言えます。頭では解ってはいるものの、なかなか修得が難しいこの題材にガチンコで挑む良書です。
個人的に、特にポイントと思われる点を四つ挙げておきます。
①音圧が高くボリュームが大きく聴こえる楽曲というのは、アナライザーで見た時にM字型をしています。中域が少々落ち込み、低域と高域にピークがあり(つまりはドンシャリ)、そこからアナライザー両端の超低音、超高音に向かって落ちていくイメージです。マスタリングに頼り過ぎず、アレンジやミキシングの時点からドンシャリ型を目指しましょう。
②不必要な中低域(~300Hz)はEQで積極的にカットしましょう。音圧が上がらずに悩んでいる方の多くが“中低域のダブつき”という症状を抱えています。あまり低音成分がないと思われがちな、鍵盤やギター、ボーカルなどもしっかり低音を含んでいます。中低域は主にキックとベースに譲りましょう。
③コンプはリダクション量をみながら調整しましょう。リダクション量の基準としては、①-1.5dB サラッとかけたいとき ②-3dB以内 コンプレッサー臭を出さずにかけたいとき ②-4.5dB あくまでナチュラルな範囲で加工したいとき ④-6dB以内 原音の質感を尊重したいとき(ここまでが限界) ⑤-6dB以上 コンプでイジり倒すぜ!というとき(音作りに、コンプのキャラクターを積極的に出していきたいとき)
④ボーカルにはオプトタイプ(光学式)のコンプで“見えない圧縮”をかけましょう。リダクション量はすべての音にコンプが掛かるように深く-8dBくらい、レシオは激ゆるの2:1以下、アタックタイムは子音が立つように1.7~3msec、リリースタイムは文節ごとにリダクションが0に戻るように調整します(50msecよりは短い)
などなど、内容を絞っている分、非常に解りやすくまとめられています。特にコンプの解説は、今まで自分が読んだ書籍の中ではピカイチです!付属DVDにはお手本ミックスと加工前の素材が入っており、本書を読みながらそれを実践することが出来ます。ご興味を持たれた方は是非、手に取ってみて下さい。