#M3秋 と『MIKUHOP LP2:Border』のこと

10/25(日)、東京流通センターにて行われる音系・映像・マルチメディア同人即売会『M3 2015秋』に参加します!当サークルWhat a Wonderful Worldは第二展示場2Fの「ケ-24b」にスペースをいただいております。今回サークルとしての新譜はありませんが、Stripeless様からリリースされる『MIKUHOP LP2:Border』に一曲参加しておりまして、当スペースにも音源を置かせていただく予定です。

 

さて、この『MIKUHOP LP2:Border』一体どんな作品かといいますと、ボカロを使ったヒップホップ・コンピレーションです。ボカロによるラップはもちろん、ヒップホップではお馴染のサンプリングやカットアップ、スクラッチを駆使した楽曲など、「ヒップホップであること」に拘りながらも非常に多様な内容になっています。歌うソフトであるボ―カロイドでラップ、ヒップホップと言われても、なかなかピンと来ないかもしれません。そんなあなたは是非、デジタル配信されている前作、前々作も聴いてみて下さい!(MIKUHOP LPは無料でダウンロード出来ます)

 

 そして『MIKUHOP LP2:Border』の発表を記念して、リリースパーティが行われます!こちらはM3前日の10/24(土)17時から、渋谷は宇田川町の宇田川カフェ別館にて、当日入場:¥2,500、TwiPla参加表明:¥2,000。DJ陣は、筆者を含めコンピに参加しているボカロPと、ボカロクラブイベントで活躍中のDJ小原さん(@y_koharaaa)に五時間さん(@gojikanhbb)をゲストにお迎えしてお送りします。お気軽にお立ち寄りください。お待ちしておりますm(_ _)m

#ルパン三世 ファンの同志に贈る!ジャズファンク/クロスオーバー5選

いよいよ『ルパン三世 Part4』のTVオンエアがはじまりましたね。ルパンシリーズといったら、その世界観の表現に一役買っているのが大野雄二さんの音楽です。中でも『ルパン三世のテーマ』は日本人なら知らない人はいないであろう名曲中の名曲!筆者も幼少の頃にこの曲に出会い、一瞬で心奪われてしまいました。

洒落たコードワークにタイトな16ビート。ブラスとストリングス、コーラスによる華やかなアレンジ。これらの手法からはジャズファンク/クロスオーバーからの影響が強く感じられますが、当時の自分にはこれが何というジャンルなのか皆目見当もつきませんでした。ジャズ?ファンク?それともソウル?と、様々な音楽を雑多に聴き漁り、ようやく辿りついたのがジャズファンク/クロスオーバーだったのです。大野さんの魅力的な楽曲群に魅了された「もっとルパンっぽい音楽を聴きたい!」という同士も数多くいるのことでしょう。今回はそんなあなたに向けて「ジャズファンク/クロスオーバー5選」をお送りします!

 

それでは早速、大野さんが影響を受けたと噂の(二次情報は多いもののソースは不明です)Lonnie Liston Smithから始めていきましょう。氏の代表曲であり、ジャズファンクの定番曲『Expansions』はクロスオーバー華やかなりし頃の1975年のリリースです。『ルパン三世のテーマ』が初めて世に出たのが77年だそうなので、この曲からの影響も多分にありそう?

 

お次はShakatakの『Invitations』。これはジャズファンクというよりも「フュージョン」といった方がしっくりくるかもしれませんね。82年のリリースです。日本では丁度フュージョンブームの真っ只中でT-SQUAREカシオペア等の国産バンドや、Azymuthなどと共に人気を博していたようです。ちなみに、この頃に制作された『THEME OF LUPIN the 3rd('85)』は全編、電子楽器による若干チープなもの(失礼!)フュージョン勢がデジタルシンセを積極的に導入していたことからの影響か、はたまたファミコンブームからの影響でしょうか。(ちなみに筆者が一番フュージョンっぽいと思うのは『THEME FROM LUPIN III '97』です。電子ドラムのタム乱れ打ちが何とも!)

 

筆者が10代の頃に「ルパンっぽい音楽」を求めていて出会ったのがJamiroquaiでした。80年代後半から90年代にかけてUKで興ったジャズファンク・リバイバル「アシッドジャズ」最大のスターである彼ら。日本では、大ヒットした『Virtual Insanity』や『Canned Heat』の影響もあって、ディスコポップバンドだと思われている向きがありますが、初期はインストもこなす正真正銘のアシッドジャズ/ジャズファンクバンドだったのです。この楽曲は93年にリリースのファーストアルバム『Emergency On Planet Earth』からの一曲。

 

80年代初頭から活動を続け、現在でもコンスタントに作品をリリースし続けるアシッドジャズ/ジャズファンクの大御所Incognito。この楽曲は2012年リリースのアルバム『Surreal』に収録された一曲です。Incognitoの代表曲はこの他にも山ほどありますが、珍しくアッパーでファンキーなこの曲を選んだのは「ルパンっぽいから!」の一言に尽きます。このコーラスワーク、ブラスの使い方が『ルパン三世のテーマ』に通じる所があると思いませんか?

 

ブラジリアン・クロスオーバーを扱うUKのレーベルFar Out Recordings。その20周年を記念して作年リリースされた『The Far Out Monster Disco Orchestra』からの一曲。Azymuthのジョゼ・ホベルト・ベルトラミとアレッサンドロ・マレイロスを中心にレーベルのコネクションをフル活用した一度限りのスーパーバンドです。同時期にリリースされたよりボッサ/サンバ色の強い『Friends From Rio Project 2014』もオススメ!

 

いかがだったでしょうか、あなたのお気に入りの一曲は見つかりましたか?今回ご紹介したどのアーティストもバックグラウンドの深い方々ばかりですので、もし気にいった曲がありましたら、是非ご自身で掘り下げてみて下さい。あなたの人生を変える曲に出会えるかもしれませんよ!ここまでお付き合いただき感謝m(_ _)m

 

おまけ

ルパン三世のテーマ」にそっくり!と評判のスペース・コブラのオープニングテーマ『コブラ』。似ていると言われるだけあって、こちらからもジャズファンク/クロスオーバーの匂いがプンプンしますね(*゚∀゚)=3ムッハー

 

ルパン三世 PART4 オリジナル・サウンドトラック~ITALIANO

ルパン三世 PART4 オリジナル・サウンドトラック~ITALIANO

 

#AQUANAUTS vol.9とリキッドファンクを彩る歌姫たち

来たる9/19(土)16時から!早稲田は茶箱にて開催されるリキッドファンク&ラウンジ・ドラムンベースイベント『AQUANAUTS vol.9』にDJとして出演させて頂きます!

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AQUANAUTSの告知と共に恒例となっておりますリキッドファンク紹介コラム。今回は「リキッドファンクを彩る歌姫たち」と題しまして、女性ボーカリストにフォーカスしてご紹介してみようと思います。プロデューサー/DJ主導のシーンにあって、なかなか注目されることの少ない彼女たちですが、アンセムを語る上では欠かすことのできない存在です。ちょっとだけ前々回の記事と被る部分もありますがご容赦くださいませm(_ _)m

Netsky - Moving With You ft. Jenna G

やはり歌姫といったら先ずはこの人Jenna G!その歌声は最早ドラムンベースのアイコンと化しています。以前、当ブログでMr Josephの『Wonderful Feeling』を「これぞリキッドファンク!な一曲」としてご紹介した事がありますが、NetskyとJenna Gによるこの楽曲も間違いなく現在のリキッドファンクを象徴するアンセムと言えるでしょう。

Lenzman - Open Page ft. Riya

ソウルフルで力強いJenna Gに対するは、フォーキーで涼しげな歌声が特徴的なRiya嬢。最近は自身名義でのアルバムリリースや、他プロデューサーの楽曲への客演も多い彼女ですが、やはりLenzmanとのタッグによる楽曲は群を抜いているように思います。中でもこの曲は、以前ご紹介した『How Did I Let U Go』に並ぶ名曲!

Gerwin - Life Cycle ft. LaMeduza (Break Remix)

Jenna GやRiyaに比べると、やや知名度こそ劣るものの客演数は両者にも引けをとらないLaMeduza。元々ハウスやエレクトロニカからキャリアをスタートさせた人のようですが、最近はドラムンベース楽曲への客演も増えてきて、シーンでの存在感を増しています。筆者の敬愛するGerwinやFlowrianといった、リキッドファンクの中でもジャズやエレクトロニカからの影響を感じさせるプロデューサーの信任が厚く、これからが今一番気になるボーカリストです。

 

もっとリキッドファンクについて知りたいという方は、よろしければ前回の記事にもお目通しいただいて、そして是非、AQUANAUTSに体感しに来て下さい!お待ちしております!m(_ _)m

#AQUANAUTS vol.8とリキッドファンク・アンセムその2

来たる7/11(土)早稲田は茶箱にて開催される、リキッドファンク&ラウンジ・ドラムンベースイベント『AQUANAUTS vol.8』にDJとして出演させて頂きます!

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毎度AQUANAUTSの告知と共に「リキッドファンクって何なのさ?」という方に向けてお届けしているリキッドファンク紹介コラム。今回は「あの大御所のブレイクスルーのきっかけとなった名曲」をテーマにご紹介してみようと思います。どれも2010年以前のリリースですが、まだまだフロアでプレイされる鉄板曲ばかりです!

Lenzman - Ever So Slightly

ディープ&リキッド系アーティストの登竜門的役割を果たしてきたレーベル「Integral Records」から2008年のリリース。ソウル&ファンクの王様James Brownの「Sunny」を大胆にサンプリングしたこの曲は、Lenzmanの名を世に知らしめた一曲だと思います。当時ディープ系に傾倒していた僕自身も、この曲との出会いをきっかけにリキッドファンクを掘るようになりました。

Alix Perez - Forsaken ft. Peven Everett & Spectrasoul

2009年リリース、Alix Perezの1stアルバム『1984』に納められた一曲。前年リリースの『Alibi』が注目を集めていたSpectrasoulとの共作で、両アーティストの個性が遺憾なく発揮された名曲中の名曲です!Peven Everettのアンニュイなボーカルも素晴らしく、新時代の到来を感じさせました。

Sabre & Survival - The Omega King

SabreとSurvivalによる2009年リリースのコラボEPからの一曲。前述の2曲に比べるとそれほど知名度こそないかもしれませんが、個人的には大好きな曲です。特にSabreの個性が色濃く反映された静謐な世界観は、話題沸騰中のStray & HalogenixとのユニットIvy Labにも引き継がれているのではないでしょうか。

 

もっとリキッドファンクについて知りたいという方は、よろしければ前回の記事にもお目通しいただいて、そして是非、AQUANAUTSにも遊びに来て下さい。お待ちしております!m(_ _)m

#AQUANAUTS vol.7とリキッドファンク・アンセム!

来たる5/16(土)早稲田は茶箱にて開催される、リキッドファンク&ラウンジ・ドラムンベースイベント『AQUANAUTS vol.7』にDJとして出演させて頂きます!

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ところで「リキッドファンクって何なのさ?」という方に向けて、今回はその中でも特に人気の曲、いわゆる「アンセム」をご紹介してみようと思います。AQUANAUTSでも毎回どれか一曲はかかる定番曲ですので、イベントの予習として聴いておくと、フロアでより楽しめること請け合いですよ! 

Die & Jenna G - 1000 Soul Songs

ドラムンベース界の歌姫Jenna Gと、Roni Size / Reprazentの一員としても活躍したDJ Dieによる特大アンセム。Jenna Gの歌声は最早ドラムンベースにおいてはアイコンと化していて、他にもご紹介したい曲がいっぱいありますが、何はともあれ、これだけは押さえておきたい一曲です!

Lenzman - How Did I Let U Go Feat. Riya

Jenna Gがドラムンベースにおけるソウル・ディーヴァならば、Riya嬢はさしずめフォーク・ディーヴァと言えるのではないでしょうか。凛とした涼しげな歌声が紡ぐメロディは、現代のフォークロアと呼ぶに相応しい佇まい。リキッドファンクの大御所Lenzmanとの、これまた押さえておきたいアンセムです。

Calyx & TeeBee - Elevate This Sound

ニューロファンク系プロデューサーであるCalyx&TeeBeeによる一曲。これをリキッドファンクと呼ぶかどうかはDJにより相違がありそうですが、AQUANAUTSではしばしば耳にする人気曲です。個人的に、ドラムンベースシーンにおける「歌モノ」のスタイルを更新した問題作であるとも思います。

 

今回、僕は16:00からのオープニングDJを務めさせていただきますが、折角お聴きいただいたので、自分のプレイの中でどれか一曲かけちゃいましょう。その辺りも楽しみに是非、茶箱に遊びにいらして下さい!もっとリキッドファンクについて知りたいという方は、よろしければ前回の記事にもお目通し下さい。

AQUANAUTS vol.6と最近お気に入りのリキッドファンクのこと。

来たる3/21(土)早稲田は茶箱にて開催される、AQUANAUTS vol.6にDJとして出演させて頂きます!

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前回はAQUANAUTS vol.5の告知と一緒にリキッドファンクの起源について書かせていただきましたので、今回は最近のリキッドファンクからオススメの曲をご紹介させて頂こうと思います。

Nuage - Lifestyle (feat. Gerwin)

NuageとGerwin。それぞれに個別の名義で活動をされていて、Nuageはハウス系のプロデューサーのようなのですが、この二人が時折一緒にリリースするドラムンベースがものっ凄くツボです。二人の最新作であるこの曲は、スネアが4拍目のみのハーフタイムフィーリングがある曲なので、スタートから序盤によく選曲しています。こういうチルな雰囲気の曲からジワジワ温めていくのが、最近の僕の定番です。

Ivy Lab & Hydro (feat. Frank Carter III & Lucy Annika) - Make It Clear

Sabre、Stray、Halogenixのベテラン3人によるユニット「Ivy Lab」が特にお気に入りで、この曲に限らず彼らの曲をよくかけています。どちらかと言うと静謐な世界観の曲が多いので、ピークよりも序盤から中盤にかけて使っています。個別名義での楽曲もカッコイイものが多いのでオススメですよ!

Mr Joseph - I Still Love You

前回の記事でも「Wonderful Feeling」をご紹介させていただいたMr Joseph。個人的にリキッドファンクと言ったらこの人!というくらい間違いのない仕事をされます。ソウルフルでアッパーな雰囲気があるので、中盤からピークに。ほんのりオールドスクールなフィーリングがあるところも、お気に入りポイントです。

 

僕のDJではこんなカンジの曲をよくかけてますが、AQUANAUTSクルーの中では最年長ということもあって、やや大人し目かもしれません。僕は今回トリなので、チルアウトには丁度良いかもしれませんね(笑)もっとアッパーなパーティーチューンもいっぱいかかりますんで、是非フロアに踊りに来て下さい!お待ちしておりますm(_ _)mもっとリキッドファンクについて知りたいという方は、よろしければ前回の記事にもお目通し下さい。 

YouTubeがラウドネス規格を導入!J-ポップやボカロ曲にも影響が?音圧戦争その終わりのはじまり

筆者はボカロPとしてニコニコ動画をはじめ、YouTubeSoundCloudに自身の楽曲をアップしていますが、最近になってYouTubeが他二つのサイトに比べて音が小さいのではないか?と感じていました。それがどうも思い過ごしではなかったようです。昨日になってこんなニュースを見つけました。

 

 

これがどういう事かというと、今まで動画ごとにバラバラだった音量を自動的に一定の基準に揃えますよ、という事です。*1動画サイトや音楽サイトユーザーの皆さんは、再生するコンテンツ毎に手元のボリュームを上げたり下げたりした経験があると思いますが、今後YouTubeに関してはその煩わしさが無くなります。TVでは2012年10月から導入されていたラウドネス規格ですが、ついにネット上でもその導入が始まったのです!*2

 

ユーザーにとっては全ての動画を一定のボリュームで楽しめてちょっと便利、というくらいの事かもしれませんが、音楽制作者にとってこれは革命的な事です。何せここ数十年もの間、音楽にとって音の大きさ(「音圧」といいます)は生命線。同一のボリュームでいかに音を大きく(音圧を高く)聴かせるかが、ミキシング、マスタリングエンジニアにとっては至上命題だったのですから。

 

何故、音圧が高い方が良いかと言えば、その方が派手に聴こえるからなんですね。デジタルオーディオの最大入力値は0dB*3と定められており、それを超えると歪んでしまいます。音量には上限があるけれど、他の楽曲よりも大きな音で聴かせて目立たせたい!そのために追及されてきたのが「音圧」なのです。下の図を見て頂くと解りやすいと思うのですが、「音圧をあげる」とはすなわち「決められた大きさの箱の中にいかにして音を詰め込むか」という事です。 

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この図は同じ曲の同じ部分の波形です。上が音圧をあげていないもの、下が音圧をあげたもの。ハコ自体の大きさ(最大音量)は一緒ですが、下の波形は頂上付近が削れて、小さい山が大きくなっているのがお解りいただけると思います。下の方が同じボリュームの時に大きく派手に聴こえるワケです。より高い音圧を求めて音楽業界はここ数十年にわたって競争を繰り広げ、その様子を揶揄して「音圧戦争(Loudness War)」なんて言われ方もしました。

 

百聞は一聴にしかず、まずはラウドネス規格が未導入のニコニコ動画で下の二曲を順番に聴いてみて下さい。

[re:jazz] feat. Jhelisa - Inner City Life
八王子P - Carry Me Off feat. 初音ミク

この二曲は最大音量(ハコの大きさ)こそ一緒ですが、聴感上は音圧のより高い「八王子P - Carry Me Off feat. 初音ミク」の方が大きく聴こえると思います。一曲目「[re:jazz] - Inner City Life」を聴くのにボリュームを適度な大きさに合わせた方は、二曲目を再生したときにその音量の差にビックリなさったのではないでしょうか。では、次にラウドネス規格が導入されたYouTubeで先ほどの二曲を聴き比べてみて下さい。

いかがでしょうか?先ほどより音量の差を感じなかったはずです。これがラウドネス規格によって聴感上の音量を一定に補正された状態ですが、音圧の高い「八王子P - Carry Me Off」の音量が大分抑えられている事にお気づきでしょう。先の図を例にとって説明すると、下のような事がおこっていると考えられます。現状のYouTubeにおいては音楽業界が粉骨砕身してきた「音圧アップ」は、ほとんど無駄になってしまうのですね。それどころか、音圧アップにより音の情報が欠落している楽曲は音が悪くなりますし、楽曲中の音量差が小さくなっているので平坦に聴こえてしまいます。音圧の追及は、音の良さやダイナミクス等、音楽的な要素とのトレードオフの上に成り立っているのです。*4

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動画共有サイトの最大手であるYouTubeラウドネス規格を導入したことで、今後この動きは国内外、大小問わず多くの動画共有サイトで適用されていくと思われます。また、つい先月アップルがストリーミングサービスへの参入を発表したことが大きな話題となりましたが、この新サービスにラウドネス規格が導入されるのではないか?との噂もあります。新旧様々な(音圧がバラバラな)音楽を手軽にシームレスに聴けるのがストリーミングサービスの肝であり、同社のiTunes Radioや同じストリーミングサービスのSpotifyには既に実装されていますので、この噂には十分な信憑性があると考えられます。

つまり、ここへ来て時代は「音圧の追求」を否定する方向へ、大きく舵を切ったと言えるのではないでしょうか?今、音圧戦争の真っ只中にあるJ-ポップやボカロ曲にも早晩この影響が出てくることになると思います。そして、ラウドネス規格の普及により「音圧の追求」から解放されたポピュラーミュージックは、よりダイナミクスを活かした新しい音楽、新しいトレンドを開拓していくのではないかと、筆者は期待しています。ここまでお付き合い頂き感謝m(_ _)m

 

3/23追記:Twitter上でsatさん(@sat1080)が公開してらした図が解りやすかったので、転載させていただきます。

*1:正確に言うと-13LUFSという基準値を超える音声ファイルのボリュームを下げるという事のようなので、小さい音声を大きくしたりはしないようです。

*2:実はYouTubeでは昨年12月に導入されていたようです。

*3:デジタルで処理できる限界値=0dB、0dBFS

*4:ここではニコニコ動画YouTubeの比較をしていただくために両方にアップされていた八王子Pの作品を取り上げましたが、氏の楽曲の音圧が不当に高過ぎると言っているわけではありません。ポップス市場の要請として音圧の高さは現状、必須のものなのです。